天理教

掲示板 <<旬の風>>

旬の風 -17-

a16

教会長となり22年目を迎えております。24歳で結婚し、3年間の不妊治療や幾多の経験とご守護を頂戴し、親とならせていただきました。会長となったのは32歳の時で、当時3人の子供をお与えいただいていました。
そして、会長となってから初めてできた子供を、死産でお返しするという辛い節がありました。あらためて夫婦で身を引き締めて勤めさせていただく誓いを親神様・教祖に申し上げた思い出が強く心に残っています。それから2年後に、待望の第4子の出産がありました。
分娩室から産声が聞こえてすぐ、「お父さん来てください」との声。不安に思いながら声のする分娩室の隣の部屋へ入っていくと、医師が生まれたての赤子を抱えていました。元気に泣くわが子を見てホッとしました。
ですが、下半身にはタオルがかけられており、そのタオルを取ると、両足の足の甲が外を向き円のように曲がっていました。医師は「内反足と言って1千人に1人の先天性の疾患です」「奥様は出産したてですし、少し落ち着いた明日にでも…」と仰います。
私は「親に見せられない子供なんていません。大丈夫ですからすぐに抱かせてあげてください」とお願いしました。私が抱えて妻に子供を抱かせました。当然足の形も見えます。出産後疲れ切った表情の妻でしたが、子供の顔を見ると表情がパッと変わりました。すると一言、「生まれてきてありがとう」と言って赤子をギュっと抱きしめました。涙が出ました。
後日、診断の結果を聞くと、娘は「先天性内反足、先天性右股関節脱臼、先天性多発性関節拘縮症」という10万人に1人の確率で発症し、関節が骨のように硬く動かないという疾患でした。幸いにも疾患の発症は下半身だけでした。
会長になって初めての子供のお与え。流産も死産も経験したのになぜ…。悔しくて、辛くて、申し訳なくて、思い悩みました。これから人生を歩む生まれたての我が子を見ると、当時は本当に辛かったことを思い出します。
その後、小学校2年生までに7度の手術をし、日本でも有名な医師に担当していただく幸運にも恵まれるなか、現在では右足は少し不自由ですが自力で歩け、元気に大学へ通っています。
その娘が今年3月に、学生生徒修養会大学の部へ参加しました。大教会の機関誌にその感想文が載っていました。
「私は『何で自分は病気なんやろ』って母に言うと、『前世のいんねんやで』と言われ、その頃は言葉の意味を理解できず、『何でお母さんが前世の自分のことまで責めるの!』と怒りを覚えていました。しかし、今回聞かせてもらった『逸話篇一四七 本当のたすかり』のお話で、前世のいんねんをいつまでも忘れることなく、真実たすかる理を大事にすることを学びました。この経験と学生会の仲間を糧にお道のことも他のことも頑張っていきます」
にちくにすむしわかりしむねのうち
せゑぢんしたいみへてくるぞや(六・15)
教えを心に修め、伝えるというのは難しいことですが、それでも節を乗り越えて幸せに暮らせるようにと、願ってくださる教祖の親心を忘れることなく通らせていただきたいと思いました。娘のお陰で成長させていただいた家族の姿に、お道の素晴らしさをしみじみと感じております。
寺西 紀(上中島分教会長)

  • LINE
ページの先頭へ