右京支部 掲示板
- 2023年04月05日 (水)
- 【右京支部】
この記事は2023年4月に掲載されたものです。
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井上 元行(いのうえ・もとゆき)嵯峨組長
只今、教祖140年祭に向かう三年千日の年祭活動におきまして、教祖のひながたを目標に、ひながたを辿らせて頂くということでつとめている最中です。
諭達の冒頭に、「全教の心を一つにしたい」とありますし、諭達の中には、「教祖お一人から始まったこの道を、先人はひながたを心の頼りとして懸命に通り、私たちへとつないで下さった。その信仰を受け継ぎ、親から子、子から孫へと引き継いでいく一歩一歩の積み重ねが、末代へと続く道となるのである」とお示し頂いております。
このことがありますので、教会を預からせて頂いている私にとりましては、教会に繋がるようぼく、取り分け若いようぼくや私の子供を含む少年会員たちに、同じ思いになってもらうために、教祖のひながたを辿ることについて話をさせてもらうということが、年祭活動の一つではないかなと思っているところであります。
今日は子供も含め若い人たちに、ひながたの話をさせてもらって、こういうことは難しいなあ、と感じている思いを聞いて頂けたらと思います。
「おやさま、すごい、でも私には無理…」「時代が違うし、今はできない」「お道の信仰は陽気ぐらし。だったらなんでこんな暗い話するの?」これは私がある場面で話をした時に返って来た反応です。驚きます。これを聞いた瞬間、「伝わってないなあ」と、自分の話下手に落胆する、また反省させて頂く瞬間であります。もちろん『稿本天理教教祖伝』に沿って話をしているんですけれども、どうも教祖が全てを施されて貧のどん底を通っておられる、あるいは、ご高齢でありながら監獄にご苦労下されている、そういうところがどうしても、衝撃的な印象に残るようです。これはイメージしやすいので仕方がないのかなと思うところではありますけれども、こういったところが先程の反応につながっているのかなと思います。
さらに省みまして、日々こんなことを言っていないでしょうか。
「教祖は貧のどん底で、『水を飲めば水の味がする。私らは結構や』と言ってご苦労下されたんや。だから贅沢言うてたらあかんで」と子供たちにこういう風に言ったりはしないでしょうか。
少し言い方が難しいんですけど、教祖にとって貧に落ち切られるというお姿が、ひながたの目的というのではなくて、普段であり、もちろん、教祖と同じ状況に身を置いて、教祖のお心に沿おうとする者は尊いことであって、それ自体は否定することではありませんけれども、先程の物の言い方のように、そこだけに対して、歯を喰いしばってでも、我慢してでも、せなあかんのやという印象を与えていて、それで終わりということになるなら、私はちょっと違うのかなという気がします。私はその先が大切で、今回の諭達に丁寧にお示し下さっておりますけれども、「どんな中でも親神様の大いなる御守護に感謝して通ることを教えられ」ということ、また他にも『稿本天理教教祖伝』には、拘引に来た巡査に「御飯をお上げ」とお気遣いされたり、監獄のご苦労の中、「あの菓子をお買い」と仰せられ、「何なさりますか」と伺われると、「あの巡査退屈して眠って御座るから、あげたいのや」と仰せられたり、これ考えてみますと、敵対する相手に対しても、深い思いやり、たすけ心があったということであり、時々の状況に「親神様のお心のままに、心明るくお通り下された」教祖の御心の在り方、そのことがしっかりと伝わる話の道筋や表現を大切に、より丁寧にさせて頂かないとあかんのかな、というのが今の心境であります。
もう一つ、若い人に伝えるので難しいなと思っているのが、伝える方法をよく考えないとな、というところです。
皆さん、コスパとかタイパという言葉をご存じでしょうか。コストパフォーマンス、タイムパフォーマンスの略語でして、だいたいお分かりになるのではないかと思います。タイムパフォーマンス、若者は時間的な効率を求める、そういう風潮があるようです。
さらにお伺いします。インターネットの記事で見かけたのですが、「ペイ疲れ」という言葉が若者の間である言葉だそうです。スマホでPayPayとかLINEPay、auPayなど色々ありますが、そういう電子決済をお使いになったことはございますでしょうか。私からすれば、電子決済だけでも最新な払い方だと思うのですが、若者の間ではスマホの画面にバーコードやQRコードを出したり、金額を自分で打ち込んで送ったりすることすら、手間で面倒くさいということらしく、ICOCAやSUICAといったタッチするだけのものもありますが、スマホを出さなくても決済できる機能が若者の間では待ち望まれている、そういうことが「ペイ疲れ」と言うらしいです。それだけでもついていけなくなりますが、時間の流れは早いなあと思っております。
前に読んだ新聞記事に、「10代の若者の年間自殺者が500人強」という見出しがついていまして、この問題に携わっておられ、若者の自殺を防ぐ手立てとして、有名なNPO法人「命の電話」の代表の話が載っていました。
代表の方によると、「今、親しい友達との会話ですら、LINEやInstagramなどのSNSで交わされるような時代に、助ける側にいる私たち大人は未だ電話というシステムに頼っているのがよいのかどうか。この年間自殺者が500人強という現状の一因として、大人としても責任を感じている」というようなコメントが書かれていました。
この方の言葉を借りるならば、新しい手立てが考えられず、若者に教祖のひながたが伝わらない現状に大人としての責任を感じる、ということになろうかと思います。
ではどうしたらいいのかな、と頭を巡らせています。何となく思い付いているのは、若者にパッパッと言うのに耐えられる手っ取り早い方法を考えましたら、見せることなのかな、と思っております。
先般盛り上がっておりましたWBCのVPを取りました大谷翔平選手がヒントになるのかな、と思います。私の妻は、野球に全然興味がありません。ただ、大谷選手の戦っている姿を見て、急に興味を持ったのか、WBCが終わってから、裏話をインターネットで検索して読みまくっておりました。試合も刺激的でしたけど、そういう魅力に取りつかれたように思います。大谷選手は野球のすばらしさを楽しさを伝えたいということで、もちろん試合中に見せるパフォーマンスもすごいのですけれども、日頃から行動、言動などを通して、野球のすばらしさや楽しさを伝えたいということを体現して、結果憧れの的になっているということです。
このように100%教祖のひながたを通らせて頂くというのは難しいですけれども、自身の生活において、ひながたを温ねさせて頂いて映して見せる。分かりやすく言えば、なるほどの人になる努力をして、それを見てもらうということかな、という思いがあります。
最後に、この問題の答えを出そうとするのならば、ぜひ支部長にこの質問をしてもらいたいなと思います。なぜかといえば、ある対談で仰ってましたが、「娘が空っぽの冷蔵庫を見て、『家の冷蔵庫エコやなあ』と笑ってた」こんな話をされていたのを皆さんもご記憶にあるんじゃないかなと思います。始めに聞かせてもらった時に、「娘さん、こんなに心が明るい、伝わってるなあ」と思った次第です。なかなか難しいところではですが、しっかりつとめていかせてもらおうと思います。